良いゲームを作るには任天堂の宮本茂のような「ちゃぶ台返し」が必要なのか?

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お恥ずかしながら任天堂の宮本茂さんのことをほとんど知りませんでした

こないだテレビを見ていて、Youは何しに日本へ?を見ていたんですよ。そしたら日本のゲーム、特に昔の任天堂ゲームやレトロゲームを中心が大好きなアメリカ人小学生が、日本のレトロゲームバーとかUSJとか行って大はしゃぎしている映像が紹介されていました。

その子は発言とかキャラクターがすごく面白くて、将来大物になりそうな予感がぷんぷんしているんですが、その子のコーナーの最後に「次はマリオの生みの親である宮本茂に会うことが目標だね!」っていう発言をして締めくくったんですね。で、僕宮本さんってゼルダ作った人くらいの認識しかなくて、改めて調べたらえげつない人でしたね。

マリオやゼルダ、ドンキーコングの生みの親ではありますがその後は星のカービィとかスターフォックスとか、メトロイドとかいわゆるファーストパーティタイトルすべてのディレクターを務めているように見受けられました。いわゆるバケモノの類です。任天堂のクオリティはおそらく彼が保っているのでしょう。

宮本茂さんの必殺技「ちゃぶ台返し」

宮本さんにはいくつかの伝説というか逸話があるそうで、その代表例がちゃぶ台返しですね。ゲームを監修する立場の方なので、実際に開発途中でそのゲームをプレイしてみて、気になるところがあれば開発し直させるみたいなんですね。それをちゃぶ台返しと呼ぶそうです。

このちゃぶ台返しの怖いのが開発状況とか納期とか関係なく根本的な修正を依頼するそうで、開発スタッフからは恐れられていたそうですね。だって最初に合意していた内容に沿って作っていたら、なんかつまんねえなってなってやり直しくらうわけですから。ストレスえぐかったでしょうね。

で、実際発売の延期とかもあるらしくて、僕も記憶にあるのがゼルダの伝説の時のオカリナですね。確かあれ3,4回くらい発売延期していたような記憶がありまして小学生だった当時はなんだよーって思いながらコロコロコミックの発売情報を追っていた記憶があります。

それもこれもクオリティの高いゲームを作るためのことだとは思うんですが普通はこうはいかないですからね。なんせ開発にはお金がかかるし売り上げ計画もありますから、そうホイホイ納期ずらせないんですよね。そこを「いや納期延ばしていいから作り直して」って言えるのは宮本さんが圧倒的な権力とプロデューサーとしての実績があるということですよね。その前提がないとなんの説得力もないですからね。

クリエイターにとって「ちゃぶ台返し」は必要なのか?

このちゃぶ台返しについてもちょっと調べてたらいろんな意見があるみたいで、めちゃんこ普通に考えたら「そんなこと今さら言うなよ。もっと早いこと言ってや。」案件なんですよね。そもそもプロジェクトというか仕様書の通りに製作を進めていたらやり直しが発生するのはおかしい、ということは最初の仕様決定の時点でちゃんと煮詰められていないことが根本の原因なんじゃないかと。つまり開発のプロセスのどこかで不備があるわけで、そこを後から修正しただけなんだから美談にするなという意見ですね。

なるほど、確かに一理ありますね。でも僕はこのちゃぶ台返しについてはゲーム業界じゃなくとも、すべての業界において一定量必要だと思っています。本当に優れたプロダクトはこのちゃぶ台返しの繰り返しでしか生み出されないとすら思っています。

こういう系の話どこかで聞いたなーと思ったんですが二つありました。ひとつはスティーブジョブズですね。自身の考える理想の製品を生み出すために、ひたすら部下に指示出して持ってきたものをダメ出しして、やり直してきたものをダメ出しして、もうこれ以上はできませんー!みたいなものをさらにダメ出しするというこの鬼畜の所業の果てにアップルの数多くの優れた製品があると思っています。持ってきたiPhoneを水槽に入れて泡出たからもっと薄くできるやろみたいな逸話はどこかで聞いたことある人もいるかと思います。

もうひとつは手塚治虫ですね。マンガの神様と言われる人で鉄腕アトムとかブラックジャックとかの作者ですね。この方アニメ作りにも携わっていたみたいなんですが、出来上がったアニメーションを見て「リテイク!」って言って撮り直しさせまくるみたいな逸話があったんですね。いやこれ以上無理です!ってなったらじゃあいい俺がやる!って言って自分で書き上げるみたいな。

この例の二名に共通して言えることは、作品に関する信じられないくらいの情熱と、周りのスタッフに対する信じられないくらいの迷惑ですね。だってこんな人と絶対一緒に働きたくないじゃないですか。やってもやってもダメ出しされて、無理難題出されたり、先に言えよみたいな内容の指摘されたりとかたまったもんじゃないですよ。本当に。

でもその圧倒的少数の変態的な天才のわがままからでしか生まれない偉大な製品って確かにあるんですよね。なので、少なくともただの消費者である我々は最大限それを活用して、感謝の手紙でもスタッフに送るくらいしかできないと思っています。天才を前に、こうあるべきみたいな凡人の思考を振りかざしても仕方ないんですよね。

今のスクエニにはこのちゃぶ台返しができる人が必要

こういう作品のクオリティ、つまりゲームのクオリティが高い低いの話をするとどうしてもスクエニが頭をちらついてしまうので申し訳ないのですが、今のスクエニに必要なのはこういうちゃぶ台返しできる人とそれを許容できる責任者だと思っています。カプコンとかフロムとかいいゲーム作ってる会社はおそらくちゃぶ台返しまくってると思いますよ。カプコンのプラグマタも発売日未定になりましたしね。でもこれで良いんです。

先ほども言いましたが良いプロダクトを世に送り出せる会社はこういう存在が何人かいると思っています。でも会社が大きくなると、関係者が増えたり動くお金が大きくなるのでむやみにリスク取れないんですよね。つまりある程度できていたら、もうこれでいいか!ってな感じでOKサイン出しちゃうんですよ。でも今の時代はユーザーの目が肥えてるので、そんなんじゃ満足できないんですよね。しかも販促部はどんどんいい感じで広告かけるので余計にこのギャップが生まれて、結果期待外れの駄作みたいなかんじになっちゃうんですよ。

残念ながらユーザーはそのゲームが面白かったか、面白くなかったかでしか判断できません。開発が大変だったとか、予算が足りなかったとか、どうでも良いんですよ。僕も含めてユーザーはわがままで、でも好きになってくれたらとことん応援してくれるのもユーザーです。なのでスクエニさん、大型タイトルの開発に注力するのも良いんですが、ちゃんと体制組んで第三者で面白いか面白くないをジャッジしてくれる人を用意して権限を与えてください。

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